大人の発達障害

最近読んだ発達障害関係の本紹介・マニアックおすすめ本

ときどき、わたしのブログを読んでくださった方からメッセージやコメントをいただくことがあり、大変嬉しく思っています。

最近……というか、ここ長らく、何かと理由をつけて更新をサボっています。やるべきことももちろんそうなのですが、やりたいこともたくさんありまして、本当に時間が足りない。

「時間は作るものです」という声も飛んできそうですが、個人的なブログの優先順位は下がってしまいがちです。本当は書きたいこともまとめたいこともいろいろあります。

今日は、ここ1年くらいの間に読んだ発達に関係する書籍の紹介をします。

3年ほど前、子どもがADHDを指摘されたり、自分が検査を受けたりしていたときは、いわゆる一般的な、わかりやすい実用書を読み漁りました。大人の発達障害・女性の発達障害・発達障害の子どもの支援に関する本・サバイバル術やノウハウ本・実行機能・言い換え事典などなど…

それらを読んでも解決しなかった問題や、より全体像を理解するために読んだ本です。

発達障害者グレーゾーン/岡田尊司

発達障害グレーゾーン/岡田尊司

書店でもランキング上位になっている岡田尊司氏の本です。岡田氏のことはもともと愛着障害の本で知り、定期的に彼の本を読んでいます。

岡田氏の本は発達障害否定派のような視点の本も多いので、客観的に考えるうえでの参考にしています。この本は実際のケース例ごとに、精神医学の分野でどのようなカテゴライズがされるのかといった話や、似たような特徴をみせる特性やパーソナリティ同士の違いなどもおもしろいです。この分野を調べていくうちに曖昧で気持ち悪いと感じるような部分に言及していて、具体性の高い事例が多く出てくる。発達障害だけでなくパーソナリティ障害や不安神経症などについても出てくるので、精神医学全体で発達特性を解説している感じだった。

ちなみに岡田氏の本はよく読んでいて、昨晩はネオサピエンス 回避型人類の登場を読みながら寝落ちした。以前、息子が診断を勧められたときは、岡田氏のADHDの正体という本も読んだ。

発達障害と呼ばないで/岡田尊司

発達障害と呼ばないで/岡田尊司

こちらも岡田尊司氏の書いた「それは本当に発達障害なのか?」という斜めから切り込む視点の本。親子関係や家庭環境の問題で発達障害のような症状が出ているケースも大いにあるということを言いたい本だと思う。この意見に対して、SNSなどでは批判的な意見も多い。(そもそも愛着障害というものが、神話的な概念だという批判もあるね)

ただ、実際にわたしの通っている小児科医もこの現象と同じようなことをこぼしていたことがあったなぁと思い出す。「寝る前までずっとスマホやゲームをさせて野放しにしておいて、眠れない、落ち着きがない、癇癪を起こすと病院に来る親子は多い。本当に薬を必要としている先天的な障害の子に薬が行き届かない、迷惑」と。(わたしこの医師めちゃ好きだけど無理!という声もよく聞く)

現代って、親を批判できない世の中でもあると思う。頑張って育児している親に意見したり、批判したりするとクレーム問題になることも多々。そんな社会の風潮や流れの参考のひとつになる本。客観的な情報を得るためのひとつとして読んだ。

発達障害者は擬態する 抑圧と生存戦略のカモフラージュ/横道誠

発達障害者は擬態する 抑圧と生存戦略のカモフラージュ/横道誠

発達障害と診断されている当事者の体験談を集めた本。性別や診断名は多様だが、それぞれの内側から見た世界や、どのようにして生きてきたかという人生、もしくはその一部が正直に書かれている。作者の方や、SNSの発達界隈のことは正直全然知らないので、注釈の章は少し飛ばして読んでしまっているところもある。

ただ、やはり同じような感覚や、共通点のある体験ばかりが出てくるので、親近感や居心地のよさを感じた。とくに女性のASDのケース例はネット上で探してもなかなか見つけにくい。SNSで発信している人の投稿から情報を選んで読んでいくのは疲れてしまうので無理なのだ。一人の人生をざっくり垣間見ることができるエピソード集。ちなみに、女性のASDの当事者の声は、自閉スペクトラム症の女の子が出会う世界; 幼児期から老年期までも大変おすすめです。

普通という異常 健常発達という病/兼本浩祐

普通という異常 健常発達という病/兼本浩祐

この本は「ASDやADHDを異常とするなら、健常発達(定型発達)者だって異常だ!」という考え方が詰まった本。この本の最初の章は、小学生の女の子同士の「いじわるコミュニケーション」から始まっていくところがめちゃくちゃおもしろい。「そうそう!なぜいじわるをするのか理解できない」という、ASDからみた「普通の人たちこそおかしい」という本音を分析してくれている。

どちらかといえば、健常発達(定型発達)の世界を理解したり、世の中の8割の感覚をより詳しく知るのに役立つのではないかと思う。加えて、発達障害だから苦しい、健常発達(定型発達)者だから苦しくないという図式が成り立たないことも読み取れるし、あとがきにも確かにそう書かれている。

「普通がいい」という病/泉谷 閑示

「普通がいい」という病/泉谷閑

「普通がいい」という病/泉谷閑示

「普通とはなにか」「異常とは何か」を考えるうえでやっぱり重要だったのがこの本である。この本は精神科医の書いた本ではあるが、医学的な解説ではなく、言葉の深堀や詩のイメージを元に、現実を紐解いていくような本だった。

しかし中盤からは、心の構造についてオリジナルの図(チープだが親しみを覚えるような図)が入っていたかと思えばそのすぐあとに、詩が引用されていたりと、作者の言いたいことが自由に表現されているような躍動感?というか、作者の熱量のようなものを感じる。

それに「言葉の手垢」を落とすことが重要だと述べているところにも大変共感した。言葉の手垢とは、言葉にくっついている世間的なイメージや価値観のようなもの。たとえば「普通」ってそもそもどういうことなのか?寄り添う、思いやり、コミュニケーションとかいろいろ、当たり前のように使っている言葉に、漠然としたイメージを植え付けているとか、よく理解もせずに適当に使っているとか、そういうことがないかという振り返りをする機会にもなる。

本を読んでいる理由

自分自身が発達特性強めだからこそ、この分野の本をよく読んでいる。でも、じゃあわたしはとても困っていて、悩んでいて、苦しんでいるのか?といわれたら、全然そんなことはない。

ただ、おもしろいから読んでいるだけ。世の中では、多様な人間ががどのように分類され、位置づけられているのか、あるいは自分は自分をどう位置付けたり、理解していけばよいのかを知るのが単純に楽しい。

あと、知識が溜まっていくのが楽しい。自分が思いついたことや考えたことと同じことを精神科医が言っていたりすると、嬉しい。ただそれだけである。

もしも、探している情報や求めている答えがこの本のどこかにあれば、それはまた嬉しいことです。どれも有名な本ですが、気になる本があればぜひ読んでみてください。

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