大人の発達障害

【ADHD】頭の中が多動とは?わたしの感覚を可視化してみた

ADHDでも、大人になると多動はあまり目立たなくなるという。わたし自身、体を動かしたり揺れたりするけれど、ほとんど目立たないと思う。

ただ子どもの授業参観などで、じっと動かずに立っているのはすごくつらい。仕事のミーティング中も、ついつい体を揺らしてしまい、ふと気づいて「しまった」と思うようなことはよくある。

しかし、体の多動というのは気を付けて抑えることができる。

一方、問題は「頭の中の多動」である。頭の中の多動は、抑えることができない。比較的静かな状態もあるといえばあるけど、基本的に頭の中がとっ散らかっている。

頭の中が多動とは

頭の中が多動とはどういうことか。

みんな、頭の中ではいろいろなことを考えているものだ。頭の回転が速く機敏にものごとを考えられる人もいる。

でも、脳内多動というのはそういうことではなくて「とにかく散らかっていて秩序がない状態」だと思っている。

以前、ADHDの知人が「仕事の作業中に、自宅の米びつのことを思い出してしまう」という話をしてくれたことがあった。わたしもその感覚はよくわかる。

仕事中にふと10年以上前の記憶が出てきてしまって、恥ずかしくなったり凹んだりするとか、乗りに乗って文章を書いている途中なのに、急に銀行口座の残高が気になってしまったりする。

行ったこともないし興味もないのに「ブエノスアイレス」という単語がずっと頭の真ん中にあるとか。

連想ゲームになっていることもあれば、突然浮かんできて頭の中に鎮座していることもあって。思考や単語、音楽、記憶で頭の中がぐちゃぐちゃに散らかっている。

脳内多動の2つのパターン

わたしの場合、自動思考で感情が引っ張られるために、気分の浮き沈みが激しくなる。気分の浮き沈みが激しいのは、易刺激性もあると思うが、脳内多動からきている場合もあると感じる。

また自動思考のように感情が関わることだけでなく、全く思い入れのない単語や音楽が脳内で繰り返されるイヤーワームにも悩まされることが多い。

ここからは2つのパターンについて、それぞれ解説していく。

自動思考のパターン

感情の浮き沈みが関係するのは、自動思考によるパターン。たとえば、ある作業をしているときに「わからない」「難しい」などの課題的場面に直面すると、感情が下がって不安が生じる。

すると自動思考によって、過去のネガティブな記憶が引っ張られてきて突然涙が出てくる、というようなことがある。

たとえば、わたしのある日の思考を可視化してみるとこんな感じだ。

不安やマイナスな思考が一瞬でも浮かぶと、それをトリガーとしてネガティブな記憶が引っ張られてくる。1分前まで楽しくてワクワクする気持ちだったのが、一瞬にして泣きたくなるような気持ちになっている。

これも脳内多動の一種だと思う。今注意を向けるべきではないことに注意を向けてしまったり、今必要のない思考や記憶にとらわれてしまう。結果的に、集中力が切れてしまう。何より自分自身の感情や思考の波に、自分が振り回されて疲れてしまうだろう。

イヤーワームのパターン

イヤーワームとは、特定の音楽や単語などが繰り返し頭の中で再生され、それが1日中、もしくは何日も続く現象のことをいう。イヤーワーム自体はADHDとの関連性は指摘されておらず、全体の90%以上が経験するものだとされる。しかし頭の回転や不安感情との関係がある、という説もあるようだ。

わたしの場合は音楽が繰り返されることもあれば、特定の単語が繰り返し頭の中に浮かぶことがある。浮かぶ、というよりは頭の真ん中にあって、他の思考の邪魔になっているような感じがする。

浮かんでくる音楽は、近所のよく行くお店で流れている曲だったり、何かのテーマソングだったりいろいろだ。好きな曲が再生されるならまだいいが、スーパーの店頭BGMやCMのフレーズなんかだとすごく不快である。

あとはニュースでよく聞くワードや、普段聞き慣れない、使い慣れないめずらしいワードが頭の中にこびりつくこともある。イヤーワームがあると、今まで考えていたことが特定の音楽や単語によって途切れてしまう。

集中力がいちいち途切れるので、軌道修正するのにエネルギーを使う。しかも思考の効率が悪いために、実際の作業もあまり進んでいなかったりする。

脳内多動と付き合うには

脳内多動とうまく付き合うために、わたしが意識していることは大きく3つある。

すべて細かく可視化する

脳内多動とうまく付き合って、目の前のことに集中するにはとにかく可視化するしかないと思っている。

たとえば、今やるべきことを常に紙に書いて見えるところにおいて置くようにしておく。

今から洗濯をするとする。その場合「洗濯をする」と書くのでは不十分。

「洗濯機を回す・干す・たたむ・しまう」のすべての工程を紙に書き出す。

「〇〇の原稿を仕上げる」というのが目の前のやるべきことだとしたら「書く・推敲・コピーチェック・再推敲・提出する」のすべての工程を書き出す。

これをしないと、散らかった頭の中から必要なことを選び取ることが異様に難しくなる。

毎日、毎回決まった工程やルーティンであっても、頭の中で散らばってしまうのだ。

これだとミスや忘れが多くなるだけでなく「もう無理だ」「あきらめよう」という気持ちになってしまう。(先延ばし)その中の工程がすっぽり抜け落ちてしまうこともある。

しかし、面倒でも「すべて一つずつ紙に書き出す」ことをすれば問題ない。

途中で銀行のことが気になっても、昨日のショックな出来事を思い出しても、紙を見れば「今注意を向けるべきこと」がすぐにわかるからだ。(調子によっては気持ちの切り替えがうまくいかないこともあるけど)

頭の中の用量を減らす

頭の中にあることを外に出して、純粋に用量を減らすことも大事だ。

自動思考やイヤーワームなど、どちらであっても「気になること」を意識的に外に出すのだ。

たとえば「今、頭の中でこの曲が繰り返されている」ということを誰かに話したり、SNSでつぶやいたりするだけで、自然と消えることがある。前半に掲載したメモ書きのように、自分の頭の中を紙に書いてみるのもよい。

昨日あったショックな出来事も、誰かに話したりどこかに書いたりすれば、頭の中から消える。

「気になる」から「気が済む」に変わるのだ。

紙に書き出せば、純粋に考えるべきことの量が減る。悩みも吐き出せば、頭の中から消える。散らかった部屋の中を片付けるときには、まず要らない物を捨てて必要なものだけにするのと同じなのだと思った。

不要な情報を入れない

脳内が多動になりやすい人は、そもそも不要な情報を入れないことも大事である。なんとなく流しているテレビやラジオ、SNSの文書や画像なども全部情報として入ってきている。

暇が苦手なADHDはすぐに情報を取り込もうとしてしまうのだけど、結局それが脳内多動に拍車をかけているように思う。なるべく静かに時間を過ごすようにしたり、瞑想したりするようにしてから、わたしはイヤーワームの頻度がいくらか減ったように思う。

というか「必要な情報かどうか」をあたらめて考えてから情報に触れると、ほとんどが要らない情報だったりするものだ。

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